本稿では、家族(家庭)のあり方について、夫婦の役割、親子の役割をまとめてみました。
家族(家庭)の形は、人によってさまざまですが、ごく自然に存在している家族について、お互いの関係や役割を、改めて考えてみませんか?
「family」(家族)に、何か大切なものが隠されているかもしれません。
「家族のあり方」をテーマに次のポイントでまとめました。
- 家族・家庭とは?
- 家族のキ・ノ・ウ
- 家族のや・く・わ・り
- 家族への思い
- より良い家族の形を築くには
家族の形やあり方について、考えるきっかけになれば幸いです。
本稿では、上記の「3」について紹介しています。
家族の形を築くための「夫婦の関係・役割」
家族の中心人物である、夫婦というものは、そもそも血の繋がった関係ではありません。
「家族」という社会的共同体は、あらかじめあるもの・形ではなく、男女が結婚してから、ゼロから作るもの・形(作り上げてゆくもの)です。
このことを踏まえ、夫婦関係や夫婦の役割を理解し、家族の形を築いていきましょう。
夫婦に求められる関係・役割は、一般的に次の3つの面があります。
- 「カップル関係としての役割」
結婚という社会的に認められた存在であることを自覚し、プライベートな時間・空間を共有・共同する関係である。 - 「家族の構成員としての役割」
家族・家庭を営み、維持していくために必要な役割を分担・協力しあう関係である。 - 「社会生活者としての役割」
家族外の親戚、友人、職場、地域との関係や繋がりを維持するために必要な役割を互いに担う関係である。
そして、夫婦間の役割では、夫婦共働きが主流となっているものの、古くから世の中に浸透している性別役割分業は、依然として残っています。
女性は、家族のために家事・育児を中心的に担い、男性は、家族のために働く傾向があります。
実際、夫婦を対象に、「どこで、どんなときにストレスを感じることが多いか?」について調査した結果がありますので、紹介します。
夫の場合、職場での人間関係や、多忙な仕事など、家庭外ストレスの割合が多く、
妻の場合、家事・育児や、夫婦間・親族間のトラブルなど、家庭内ストレスの割合が多い結果となっています。
本来の家族の形は、安らぎや癒やしの場を提供するものであるのに、夫婦間のトラブルでストレスを感じている男女が、全体の2~3割も存在しています。
夫婦関係やその役割には、相互理解、相互信頼、相互協力が不可欠ということが理解できます。
相互とは、バランスをとることであり、一方通行、過度な依存ではありません。
家族の形を築くための「親子の関係・役割」
親子は、夫婦と違い、血の繋がった存在であり、親からすれば、子どもが自分の分身だと思う人も多いです。
また、社会的構成員である夫婦と比べ、自然的、本能的に、大切な存在だと感じます。
一方で、親子間の距離が近ければ近いほど、子どもが窮屈に感じ、健全な精神の発達の妨げになることもあります。
上手く子育てをして、子どもが一人前の大人に成長し、自己の認識、道徳心の構築、社会のルールなどを身につけさせなくてはなりません。
親子の関係において、次の3つの役割があります。
- 「心の拠り所」という役割
- 「しつけ」という役割
- 「慈悲の心の形成」という役割
「心の拠り所」という役割
まず、1つ目の「心の拠り所」では、子供にとって親や家族は「世界そのもの」(この世のすべて)であり、健全な心身を保つ必要不可欠なアジトです。
両親が温かい心で、子どもの言動を受け入れ、気持ちに寄り添えば、家族や家庭は、子どもにとっての大切な「心の拠り所」となります。これは、家族の形を築くために、重要なポイントです。
「しつけ」という役割
そして、2つ目の「しつけ」です。
多くの人が、「しつけ」=「叱る」だと勘違いしています。
「しつけ」には「褒める」という意味も含まれています。
「しつけ」は、漢字で「躾」と書き、「美しい身」という意味があります。
心美しい人間になれるよう、「しつけ」なくてはなりません。
親が「しつけ」のために行った言動が、子どもからすれば「押しつけ」になっている可能性もあります。
そもそも、「しつけ」は、裁縫に用いた「仕付け」から派生した言葉であるともいわれています。
「仕付け」は、まっすぐに縫えるように、あらかじめ仕付け糸で要所要所を縫うことを意味しています。
この意味がわかれば、子育てにおいても、事細かく、過度な干渉はしないことが必要だと理解できると思います。ある程度距離をとるというのも、大切な家族の形です。
両親が、子どもの発言に耳を傾け、しっかり聞けば、その子どもは「行動・感情を受け止めてくれた」「認めてくれた」と感じ、自己肯定感が高まり、やる気や自信が生まれ、のびのびと成長できます。
子どもの話を頭ごなしに否定し、取るに足らない話だと、絶対に決めつけてはダメです。
子どもと接するときは「傾聴」という心を忘れないようにしましょう。
「傾聴」とは、ただ相手の話を聴くということではなく、相手に共感し、受容しながら聴くことをいいます。
「慈悲の心の形成」という役割
最後に、「慈悲の心の形成」についてです。
「慈悲」というのは、もともと仏教の言葉で、深い意味があります。ちなみに、仏教では「慈悲」を謳いますが、キリスト教では「愛」を謳っています。
「慈」は、幸せを与えたいと思う心。「悲」は、相手の苦しみをなくしたいと思う心。のことを言います。
相手が幸せだと、自分も幸せな気持ちになり、苦しんでいる相手を手助けすれば、なんだか心が落ち着くというのが、「慈悲」です。「思いやり」に似た言葉でもあります。
慈悲が育まれれば、「するべきこと」、「してはいけないこと」の分別がつき、心豊かな大人に育ち、思いやりを持って相手と接することができるようになります。
以上、家族の形を築くための家族の「や・く・わ・り」について、紹介しました。
本稿をご覧になって、夫婦関係や、親子関係について、考えるきっかけになれば幸いです。